『エクオール』とは、大豆イソフラボンから変化した成分で、スーパーイソフラボンとも呼ばれています。
しかし、どんな効果があるのかよくわからないという人も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、エクオールの成分について、その効果や増やす方法について詳しく解説していきます。
更年期障害の症状緩和のために、意識して大豆製品を摂ってみたけど、効果を感じられないという人は参考にしてみてください。
エクオールとはダイゼインが代謝されたもの
大豆製品から摂取できる大豆イソフラボンですが、実は
- ダイゼイン
- グリシテイン
- ゲニステイン
の3種類の成分があります。
その中でもダイゼインという成分が、腸内細菌によって代謝されエクオールへと変化していきます。
このエクオールは、大豆イソフラボンよりも『エストロゲン様作用』が強く、細胞のエストロゲン受容体に入り込んで、エストロゲンに似た働きをします。
また、閉経前でエストロゲンがたくさんある時は、『抗エストロゲン作用』によってエストロゲンの働きを抑えてくれます。
一方、エストロゲンが足りない時は、エストロゲン受容体にエクオールが入り込み、肌や骨、血管や脳などを守る作用も発揮してくれるものなのです。
これによって、さまざまな症状の改善が期待されています。
このような研究結果から女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするのは、大豆イソフラボンそのものではなく「エクオール」だと考えられるようになりました。
だから最近ではエクオールは「スーパーイソフラボン」などと呼ばれるようになっているわけです。
エクオールに期待できる5つの効果
では、そんな大豆イソフラボンより強いエストロゲン様作用があるエクオールですが、実際にはどんな効果が期待できるのかというと、
- 更年期症状の緩和や改善
- 生活習慣病の予防
- 骨粗しょう症の予防
- 乳がん、前立腺がんなどの予防
- 美肌やダイエット効果
このように、女性にとって嬉しい効果を期待することができます。
更年期症状の緩和や改善
年齢とともにエストロゲンが減少することで、更年期の症状が現れてきますが、実はその症状の重さはエクオールの量にも関係しているのです。
例えば、エクオールが多い人は症状が軽く、少ない人は重くなる傾向があるという調査結果も報告されています。
こちらの研究では、40代以上の女性に長期間の間エクオールを摂取したもらったところ、12ヶ月後では約8割人が効果を実感したという結果もあります。
つまり足りなくなったエストロゲンの代わりに、エクオールを補うことで、更年期や40代以上で起こる症状を軽減できるということです。
生活習慣病の予防
更年期に関わらず年齢を重ねていくとどうしても気になってくるのが生活習慣病です。
特に
- 動脈硬化
- 体脂肪の増加
- 高血圧
- 糖尿病
- 心臓病
- 脳卒中
などの病気は生活習慣病が原因で起こることが多いです。
エクオールにはこれらの引き金となる生活習慣病の予防にも期待することができます。
実際にエクオールを産生できる方はエクオールを産生できる方よりも体脂肪面積が少ないという研究結果もあります。
50代における体脂肪の数値はエクオール産生者で 25.7%、 非産生者で27.8%とその差は約2%、 内臓脂肪面積においても 41.8㎠に対し54.0㎠とエク オール産生者が約12㎠少ない結果でした。
また動脈硬化や骨吸収抑制においてもエクオールを産生できる方の方が優位性があったということなので、エクオールが生活習慣病のリスク防止に関与していることは間違いないといっていいでしょう。
骨粗しょう症の予防
エストロゲンは、骨からカルシウムが溶け出すのを抑える効果がありますが、閉経以降の女性は、エストロゲンの減少に伴い骨密度も減少し、骨粗しょう症になりやすくなります。
しかし、エクオールにはエストロゲン様作用によって、骨からカルシウムが溶け出すことを抑える働きがあるため、骨粗しょう症の予防に期待ができるというわけです。
更年期以降の女性に2年間、毎日豆乳500ml(イソフラボン量で約100㎎)を飲んでもらったところ、イソフラボンを摂らないグループは骨密度が約4%低下したのに対し、イソフラボンを摂ったグループは低下しませんでした。
参照:ヘルスケシステムズより
という研究結果もあります。
乳がん、前立腺がんなどの予防
乳房にある乳管は、エストロゲンの影響を受けやすいため、エストロゲンが過剰になることで乳がんのリスクを高める危険性があります。
エクオールにある『抗エストロゲン作用』によって、過剰なエストロゲンの働きを抑えることでき、乳がんのリスクを下げる効果も期待されています。
また、エクオールには、男性ホルモン『アンドロゲン』の働きを抑える作用があり、前立腺がんなどの男性の病気予防や脱毛改善効果も期待できます。
美肌効果
年齢とともに肌の水分量が減り、肌が乾燥することでシワやたるみなどが出やすくなりますが年齢のせいと諦めていませんか?
実は、エストロゲンには肌のコラーゲンを作り、肌の潤いを保ってくれる働きがあります。
なので、エクオールを摂ることでシワの面積が少なくなった人やシワの深さが浅くなった人などのデータもあります。
また、抗酸化作用によって体の酸化を防ぐ働きもありシミの改善や美白効果も期待できます。
このほかに動脈硬化や糖尿病、更年期以降のメタボリックシンドローム予防などにも期待されているのです。

このようにエクオールは、このような効果が期待できるので、新たな可能性を秘めた素晴らしい成分なのです。
エクオールは作れる人と作れない人がいる
エクオールを作る元となっているのが、『エクオール産生菌』という腸内細菌です。

エクオールが作れるか作れないかは、このエクオール産生菌が腸内にあるかないかで分かれてしまいます。
エクオールを作れる人は、大豆を摂取するとダイゼインが腸内にあるエクオール産生菌によってエクオールが作られ体内に吸収されます。
一方、エクオールが作れない人は、大豆を摂取するとエクオールが作られずダイゼインはそのまま体内に吸収されます。
このエクオール産生菌を持つ割合は、日本人ではなんと2人に1人しか作れないという調査結果があります。
また、住んでいる地域や年齢によっても作れる人の割合が異なり、年齢が若くなるにつれエクオール産生量が低下している現状があるようです。
実際に上記の図を見てもらってもわかるように、欧米の地域では約3割の人しか作り出すことができません。
大豆製品は、古くから日本人の食事に欠かせないものでしたが、食事の欧米化で大豆製品摂取の減少が影響しているのではないかとも言われています。
さらに腸内細菌のバランスは、普段の食生活や体調にも影響され、同じ人でも作れたり作れなくなったりすることもあります。

では、どうすればエクオールを増やすことができるのか。
次で詳しく解説します。
エクオールを増やす3つの方法
エクオールを増やすには、エクオール産生菌という腸内細菌を増やすことが必要です。
これまで大豆イソフラボンには、エストロゲンと似た働きをすると言われてきましたが、
最近の研究では大豆イソフラボンを摂取後、エクオールに変換されたものがエストロゲンと似た効果を示すということが分かっています。
なので、腸内にエクオール産生菌がない人や少ない人は、大豆イソフラボンをいくら摂取してもエストロゲンと似た働きをしないという結果になります。
意識的に大豆製品を摂取しても、更年期症状に変化を感じられないというのはエクオール産生菌がないというのが原因だったわけです。
では、どうすればエクオール産生菌を増やすことができるのかというと
- 大豆製品を摂取する
- 腸内フローラを整える
- エクオールサプリから摂取する
この3つがポイントです。
大豆製品を摂取する
エクオールを増やすには、なんといっても大豆イソフラボンを摂取することです。
大豆、豆腐、納豆、味噌、豆乳などを積極的に摂取しましょう。
しかし大豆イソフラボンの過剰摂取は、健康に害を及ぼすと言われており、1日の摂取上限量を70~75mgと国で推奨しています。
- 納豆1パック
- みそ汁1杯
- 豆乳200mL
- 豆腐1丁
これがおおよその目安になります。
効率よく摂れるようにいろいろ工夫して、毎日大豆製品を摂るように心がけましょう。
腸内フローラを整える
大豆製品を毎日摂っても、エクオール産生菌がいなければエクオールは作られません。
そこで腸内フローラを整える必要があります。

腸内細菌を活性化させるには、栄養源を与えないといけません。
その栄養源となるのが、食物繊維です。
葉物野菜や根菜、海藻、きのこなど、食物繊維が豊富な食品をたくさん摂るように心がけましょう。
寒天は特におすすめ
腸内フローラを整え、エクオール産生菌を増やしてくれると注目されているのが『寒天』です。
寒天はほぼノンカロリーで、血糖値の上昇やコレステロールの増加を抑制してくれるので、メタボ対策としても効果が期待できます。
エクオールサプリを活用する
自分の腸内にエクオール産生菌があるのかないのかも気になりますよね。
もし、あるかどうか悩むなら直接サプリでエクオールを摂取することも一つの方法です。
普段の食生活を見直して、大豆製品や食物繊維を意識して摂っていても、あまり変化が見られない場合は、サプリをプラスしてみましょう!
サプリメントで摂取すれば作れない人も直接エクオールを摂取することができるので、問題なくエクオールの効果を得ることができます。
それにサプリメントであれば、どのくらいの量を摂取したのかがわかるので、1日の目安量を摂取することが可能になります。
大豆製品を食べても、実際には体の中でどれくらい代謝されてエクオールになっているのかなんてわからないので、効率よく摂取するならサプリメントがおすすめですよ。
エクオールサプリの副作用はある?ない?
エクオールという成分は、
- 腸内細菌であるエクオール産生菌
- 大豆などから摂取できる大豆イソフラボンのダイゼインなど
が合わさって体内で作られる物質です。
体内で作られるということは、エクオールという成分自体には副作用はないと考えて問題ないでしょう。
ただ、エクオール自体には副作用はないかもしれませんが、大豆イソフラボンなどを過剰摂取した場合は副作用がでる可能性あります。
上記でも触れたように、大豆イソフラボンの1日の摂取上限量は70~75mgなのでこれ以上摂取してしまうのは辞めましょう。
また、もしサプリメントで摂取する場合は、必ずメーカーの摂取量を守るようにしてください。
サプリメントは多く摂取したからといって、効能などが倍になるということはありませんので。
更に詳しくはこちらの記事も参考にしてみてください。
まとめ
エクオールは更年期を迎えている方にはもちろん、40代以降で女性の方にもおすすめの成分です。
恐らくまだまだ、これからエクオールに関しては様々な研究が行われて検証されいくと思います。
ちょっと、40代になって体調が悪くなってきたと感じたら、エクオールを摂取してみてください。
もしかすると、今までの体調が嘘のようによくなるかもしれませんよ!